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[危機]インド製ジェネリック医薬品が手に入らなくなる日。

 最近医師や薬局で『ジェネリック医薬品(後発医薬品)』を薦められる事はありませんか? 特許切れで誰でも作ることができるようになった医薬品を、同じ製法で、同じ成分の同じ薬品として作りだされたものがジェネリック医薬品。

- 人命は特許に優先する:危機に晒される数百万人の命 −安価な医薬品へのアクセスを守るための署名のお願い−

人命は特許に優先する! 署名のお願い:スイスの製薬会社ノバルティス社がインド政府を提訴しています。同社が勝訴すると、世界各国の数百万の人びとが安価な医薬品の入手源を失う恐れがあります。世界各地の数百万の人びと安価な医薬品の入手源を恐れがあります。 国境なき医師団 www.msf.or.jp


 国境なき医師団が署名活動を行っています。署名内容の詳細は国境なき医師団日本 www.msf.or.jp をご覧下さい。

 日本の署名ページでは概要が分かりにくいかもしれません。そのときは本部の請願書も併せてお読み下さい。署名は『SIGN MSF'S 'DROP THE CASE' PETITION』(訴訟取りやめの請願書)に記されます。


 国境なき医師団の活動にはインド製のジェネリック医薬品が数多く使われています。理由は"安い"からです。安いのにかかわらず、成分は全く同じ。しかもインド製は良質。これは活用しない手はありません。これにより、世界各国で安価な医薬品が入手できるようになっています。インド製のエイズ(HIV)治療薬は今や世界各地で必要不可欠となっています。

 エイズ治療薬としては世界の発展途上国中の半分がインド製ジェネリック医薬品を使用し、国境なき医師団では 8 万人のエイズ患者治療の 8 割以上に使用されています(*1)。

 ですが、元々特許を持っていた会社としては、自社の収益源にも繋がることもあり、面白くないのかもしれません。せっかくお金かけて研究してきたのに、というのも言い分の1つ。・・・本来ならそういう所ですが、、、

 実は、インド国内の特許法では『医薬品は特許として認められていません』でした。つまり、特許有効期間内であっても、インド国内では堂々とジェネリック医薬品として海外の医薬品をジェネリック医薬品として製造・輸出することが出来ました(2005年にインドの法律は改定されています)。

 インドは WTO(世界貿易機関)加盟国なのでノバルティス社は WTO に則り知的財産保護を遵守するよう裁判を起こした→現在は 1 万件程のの医薬品が特許審査待ちの状態にある→特許が認可されると特許保護期間内のジェネリック医薬品が高価になる(特許の有効期限は20年間/WHO規定)→国境なき医師団の活動に支障をきたす恐れがある(インドに頼っているので)→それに対して国境なき医師団は→「まずは話し合おう」と公開質問状を送っている所です。

 ノバルティス社の訴えは、制ガン剤をインドでの特許を申し出たのに却下されたからです。製品名(Gleevec, Glivec)が一般的だったものという事と、製品開発時のインド法制下では特許として認められなかった事を理由に2006年1月に申請を却下。それで裁判を起こしたという訳です。

 この制ガン剤 Gleevec は患者1人が1ヶ月使用するために $2,600 (約30万円)必要です。ところが、インドでのジェネリック医薬品の場合は月 $200 (2万円)まで抑えることができています。これはちょっとノバルティス社としては納得がいかないという事で裁判になったようです。

 もしこの裁判で特許が認められると、他のインド製ジェネリック医薬品にも影響が出て、国境なき医師団の活動だけでなく、発展途上国中の医療にも重大な影響を与えかねない恐れがあります。それで「人命は特許に優先する! 署名のお願い」という訳ですね。

- ノバルティス社がインド特許法に異議申し立て MSF、医薬品へのアクセスが危機にさらされていると警告

 ちなみに国境なき医師団本部の署名ページはこちら『THE LIVES OF MILLIONS ARE AT STAKE!! 』。

 ところでノバルティス社(Novartis)は本社がスイスにあり、ジェネリック医薬品分野で業績向上しています。署名の送り先の Dr. Vasella というのは、Daniel Vasella 博士、つまりノバルティス社の CEO (最高経営責任者=社長)です。

 加えて、このノバルティス社について。2006 年の全世界売上高は日本円で約 4 兆円(現時点の任天堂の時価総額に匹敵)、世界 140 ヶ国近く展開、社員約10万人。通常医薬品とジェネリック医薬品の売り上げを見てみます。2004 年は 約 6:1 だったのに対して、2005 年には 比率は約 4:1 とジェネリック医薬品の売上高は向上しています。あわせて年々通常医薬品とジェネリック医薬品の売上高は双方とも向上しています。


参考文献:
- *1 MSF: Q&A on patents in India and the Novartis case, 国境なき医師団本部
- ノバルティス社がインド特許法に異議申し立て MSF、医薬品へのアクセスが危機にさらされていると警告, 国境なき医師団日本, 2006年9月27日
- ノバルティス, Wikipedia
- ノバルティスファーマ株式会社
- ノバルティス2005年業績:売上高・利益ともに過去最高を更新, ノバルディスファーマ株式会社, 2006年1月23日
- ノバルティス2005年第1四半期業績発, ノバルティスファーマ株式会社, 2005年4月26日
- www.novartis.com 本社サイト
- ノバルティス ファーマ、「生活習慣病予防キャンペーン2007」に特別協賛
- 後発医薬品, Wikipedia
- 国境なき医師団, Wikipedia


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2007年01月23日 13:28に投稿されたエントリーのページです。

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