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平成21年2月19日(木) HOSTING-PRO 2009 に行ってきた。簡易レポート。

ホスティング業者の集うイベント、と形容しても差し支えのないような業界内部のイベント=HOSTING-PRO 2009(ホスティングプロ)が、秋葉原であった。場所は電気街口を出てすぐそこの秋葉原コンベンションホール。アキバという場所が場所だけに、受付をすぐ抜けた場所でメイドさんがチラシを配布しているのは「ちょwwwどこのご帰宅だよwww」というレベルなのですが、毎年こうなのですかね?(´・ω・`) 実は今回初めて参加する私めでありました。さて、セミナーはなぜか写真撮影が禁止だったりして(プレスだけ許可されてるらしい?)アップするものはありません。メイドさんをアップしてもねー。

参加したセッションは以下の通り。

W2:ホスティング事業者として取り組むべき IPv6 対応策とは
C3:クラウドによる、次世代 IT プラットフォームの実際
C4:経営者パネル(JAIPAセッション)

全体的におもしろかった。どうおもしろかったかというと、前にレポートした楽天テクノロジーカンファレンス2008ですとか、オープンソース/開発者層のイベントとは、明らかに参加者の層が違うなという気が。現場担当と言うより、もっと上の経営者層とか、ベンダーさんとか SIer と思われる方たちが多かったように思う。その証拠に、みんなスーツだったもんねぇ。年齢層も結構高めだったように思うし。

さてさて、以下、例によって雰囲気を伝えたいために主観をを交えてレポートします。
※自分のメモや思いつきも混ざっていますが、概ね主旨は変えてません。
※文中社名・人物敬称略。恐れ入りますがご容赦を。

◆W2:ホスティング事業者として取り組むべき IPv6 対応策とは

IPv4 は必ず枯渇する

  • 2010年より IPv4 アドレス取得にトラブルが発生するようになる。
  • 2011年第一四半期には IPv4 アドレスは全く取得できなくなる恐れ(APNIC 割当分)。
  • IPv4 → IPv6 移行作業は全く進んでいない。
    理由はコストがかかること、導入実例がないこと。

GMO の IPv6 対応

  • ホスティング事業は、専用サーバ・VPS・SSL 利用時に IP を取得できなくなる。
  • 死活問題であるとの認識(間違いなく 2011 年に枯渇する!)。
  • IPv4/v6 を共存させるためには「 MiddleBox 」を使用する。
    • MiddleBox とは IPv4/v6 を変換するしくみの総称。
    • リバースプロキシや IP トランスレータのことをさす。
    • MiddleBox を使うことを、トンネリングという。
  • GMO はIPv4/v6ワーキングブループに参加している。
  • 第1回 2008/9/3~5 … IPv6 技術の実証試験
  • 第2回 2009/1/14~16 … IPv4・IPv6 共存試験
    • トポロジA
      IPv4 から IPv6 の変換・ルーティングはすべて MiddleBox を経由
    • トポロジB
      IPv4 は既存のルーティングを経由
      IPv6 のみ MiddleBox を経由
  • いずれの実験も成功した。ワーキンググループの成果はサイトに公開予定。
  • DNS の IPv4/v6 共存には Dual Stack という技術を用いる。
  • ただし、不安定との噂。また、非常に面倒な作業なので現場作業者は大変。

ホスティング業者視点からの IPv6 問題

  • 負荷分散(ロードバランシング)を実現するには難易度が高い→コスト的、技術的
  • アクセスログは解析できなくなる
    MiddleBox を経由すると、IP アドレスが書き換えられてしまうため。
    アプリケーションレベルでも、Dual Stack 使用時は、IPv4/v6 両方に対応が必要。
  • ユーザ視点では、何らメリットがないので、推奨しづらい。
  • ウェブアプリ側の対応
      ホスト名→IPアドレス変換のルーチンが必要
    通信データ内に IP アドレスが含まれている場合の処理
    IP アドレスをキー文字列にして分散処理行う場合
    その他、個別にアプリケーション側での IPv6 対応
  • OS やネットワーク側の対応 既に対応は完了している。
    FreeBSD、Linux の各ディストリビューションは対応済みだが、対応レベルに差。
    Windows Vista も IPv6 に標準対応。
  • レジストラ側の対応
    JP-Direct 以外は対応していない
    例えば申請フォームが IPv4 向けに 4 つしか入力枠がない

ホスティング事業者がやるべき事

  • IPv6 の情報を収集すること。
  • NGN ユーザが今後増える事(IPv4を全く必要としないユーザ)。
  • ネットワークやスイッチ類の対応は問題ない。
  • セキュリティアプライアンスの対応が、各社バラバラ
    →メーカや SIer に「対応しないんですか?」と声を上げる。
     とあるファイアウォールは、IPv6 ルーティング機能はあっても
     フィルタリングが出来ないらしい。
  • ネットワークの概念が変わるので注意が必要。
    IP アドレスの自動設定機能や、グローバルアドレスの概念
  • DNS の Dual Stack 対応作業

Web サービス開発者がやるべき事

  • OS やウェブサーバ(Apache)、言語(PHP,Java,Perl...)は IPv6 に対応済み
  • DB の IP アドレスの項目が固定長になっていないか確認が必要。
  • フロント部分のみ Dual Stack に対応し、内部は IPv4 を使うのが現実的か。
  • ノウハウが業界全体で共有されていない。レイヤーごとにバラバラの対応状況。

IPv4 アドレス枯渇対応タスクフォース
http://kokatsu.jp/

IPv4/v6 共存WG サービス移行s-WG 活動のご紹介

http://www.janog.gr.jp/meeting/janog22/program/day2/data/day2-5-5_Maro.pdf


◆C3:クラウドによる、次世代 IT プラットフォームの実際


ホスティング視点でのクラウドの定義とは

  • ライブドアの定義
     「仮想化技術を用い、分散環境(クラスタ化)でプロビジョニング(*)を行い、
      従量課金で提供するモデルのこと」
    * プロビジョングとは、システムリソースを動的に変更すること。

  • はてな
     「インターネット上のサービス(SaaS)と、

      データセンター上のハードウェアリソースの総称」

ライブドアの仮想化事情

  • ホスティング視点では、クラウド技術とは以下3つに分けられる。
      「アプリケーション」「プラットフォーム」「インフラストラクチャ」
  • ライブドアは Virtuozzo を仮想化に使用している。
    現時点では、個人向け用途が中心。業務レベルではない。
  • FF7 主人公のクラウドではない。

はてなの仮想化事情

  • Xen 環境を社内で使用している。
  • クラウドは API 的な考えである。
  • 分類は以下の通り
    • 抽象度が高い Google App Engine … 言語は Python しか使えない
    • 中 Windows Azure   … .NET をベースにした技術
    • 低い Amazon EC2, S3 … IA サーバ技術
  • 抽象度が高いと出来ることが限定されるが、ユーザは頭を使う必要なし。
  • 抽象度が低いと制限は少ないが、ユーザが出来ることも少ない。
  • クラウドのメリットは、以下の技術的要素を組み合わせられること。
    • スケーラビリティ … リソースはほぼ無限
    • スモールスタート … 使っただけ課金
    • 負荷ピークへの対応 … 動的なリソース割り当て
  • 分散処理では Hadoop と MapReduce を並列計算クラスタとして使用している。
    個人情報が含まれるので、社外に出しずらい。
  • はてなが欲しいクラウド像
    • クラウドは技術的に完成されていると思っている。
    • 自動で効率的なシステムが欲しい。
    • レスポンスの高いクラウド環境(Amazon や Google は海外)
  • プロビジョニングは半自動化して運用している。
    • 実際にはオペレータのコストが高くなっている。
    • 現実問題として、肝心なところはオペレータが手動で対応せざるを得ない。
    • どうしてもクオリティを高める運用をするには、人を介す必要がある。
  • EC2 は安けど面倒。
  • もっとクォリティやセキュリティを高めないと、事業者レベルでは使えないのでは?
  • ホスティングでも、申し込んで2時間後に使えるようなサービスがあれば使ってみたい。

◆C4:経営者パネル(JAIPAセッション)

  • 講演者
    • 株式会社ライブドア 出沢 剛氏(代表取締役社長)
    • NTTコミュニケーションズ株式会社 小原英治氏(経営企画部部長)
    • 株式会社ビットアイル 寺田 航平氏(代表取締役社長CEO)
    • GMOマネージドホスティング株式会社 村野 雄一氏(代表取締役社長)
  • 司会
    • さくらインターネット株式会社 田中 邦裕氏(代表取締役社長)

世の中大変だけど、景気はどうよ?

  • ライブドア
    • 景気は良い。四半期最高益を記録。
    • インフラ・ホスティング共に 10% の成長。
    • 解約は増えていないが、広告を主体にした事業のクライアントが縮小傾向。
    • 好調なのは内部統制・アウトソーシングの分野。
    • 対面営業的には不況の影響は無い。
  • NTT
    • 非常に好調。昨年夏にスタートしたサービスは、通常の2倍ぐらい伸び。
    • 手厚いサポートがユーザに評価されているのでは。
    • 回線は売れていない。

  • ビットアイル
    • 昨年同期より倍の解約件数。ただし、受注数は落ち込んでいない。
    • 広告による収益モデルを展開するクライアントは、縮小や撤退が目立つ。
  • GMO
    • 前月比2倍、全体的に好調。9月10月は落ち込んだが、既に回復した。
    • システムの見直しにより、GMOへの移転が多いようだ。
    • ユーザは二極化している。
      • 「安ければよい」or「しっかりマネージドして欲しい」
      • これまでの中間層が無くなった印象。

時代はフルマネージドホスティング

  • ライブドア
    • 新宿データセンターでは、50名の技術員(正社員)を三交代で回している。
    • アプリケーションも含めて対応している。
    • すみません、一括保守いくらの丼勘定で見積もりやってました。
    • 個人開発者向けにサーバの無償提供をスタートした。
  • NTT
    • 秋田のコールセンターを増床。国際規格も取得し、評価を得ている。
    • 手厚いサポートが重要と認識。
  • ビットアイル
    • ファイアウォール等、セキュリティアプライアンスの分野が伸びている。
    • 監視サービスは無償で提供するものと認識している。
  • GMO
    • どこまで対応するのかフルマネージドの定義が一般的にわかりづらい。
    • GMO は内訳を明確にした
      • サービスがパック化されていたり、契約が一括費用になっているより ユーザは細かい内訳を求めている。
      • サービスとして見えないもの(機器以外の形にならないもの)も ユーザにわかりやすいように努めた。評価を得ている。
    • 営業は対応速度を早くするようにした。
      他社は見積もり依頼後、一週間放置のケースも。

クラウドコンピューティング(笑)と今後のホスティング業界動向

  • ライブドア
    • クラウドはホスティング分野に対する脅威ではない。
    • クラウドはマスコミが使いたがる単なるパズワード。
    • クラウドするなら仮想化をしっかり定義し、しっかりしたサービスを出したい。
    • それよりも、今後は「フルマネージド」が重要なポイントになる。
      • ネットワークエンジニアやオペレータの質を上げている。
      • 「人的リソース」のレベルアップが、サービスの肝になる。
  • NTT
    • クラウドへの流れは確実に来る
      セッション中、パネラーの間では
      クラウドは脅威ではないし、業務レベルでも使えない。
      まさにクラウドコンピューティング(笑)の雰囲気だった。
    • 今年秋に次世代無線通信サービスがスタートする。
      常時2~3Mbpsの高速環境を、
      ドコモの設備を使い日本全国一斉展開するかも。
    • 高速なネット環境が実現すると、データはすべてクラウドの向こうに置こう
      そういう流になるのではと考えている。
             昔はどっかの会社が64・64・128(ロクヨン、ロクヨン、イチニッパ)とCMしてたけど(笑)
  • ビットアイル
    • クラウドの要素技術は良くできている。たとえば VPS は完成されている。
    • VPS では事業者レベルのサービスはまだ提供できないのでは。
    • ただ、ストレージが非常に安くなってきた。
    • クラウド的に今年はストレージ元年といえるのでは。
  • GMO
    • クラウドはバズワード。68年88年08年の20周期説。
    • 経営者的な視点からは、
      インフラを持たない、時間をかけない、アプリをやらない(開発しない)
      この3点が重要と考えている。
  • さくらインターネット
    • 田中氏自身はクラウドに取り組みたいのが、
    • 社内で研究指示を出すと「胡散臭い(笑)」と言われる。
    • 今は何もサービスがないが、クラウドを是非やりたい。

これは違う!という箇所がございましたら、恐れ入りますがご指摘ください。

追伸。

場所が場所だけに、そのまま寄り道&直帰したのですが、マジメな私はちゃんと会社に戻りました、えぇ、ほんとです。べっ、別にPSP版のアイマスを買おうとか、スターオーシャン4を買いに行きたかったわけじゃないんだからねっ!

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コメント (2)

HRS人:

驚きました、
今朝、アップされていた事を。
勤務先へのレポート提出もあるだろうと思う中で、私の投稿内容が誘引したように感じ、申し訳ないような気持ちです。

体調大丈夫ですか?
このサイトで知った「創聖のニコ中」の作者さんは、最近、自身の筋肉と心肺機能を、運動することで活性化させ、ある状況を打破しようとされているようで、日常でPC画面から一時離れて身体を動かす事は、若い時は大切な事ですよ。

読ませていただき、
昨今の経済不況の中、
情報通信と情報処理の業界がこれからの経済を牽引するんだろうか?
と、
渦中の田舎生活者の小生はふと頭を傾げています。

IPv6移行への動向を含めた情報産業とECOエネルギー関連が不況脱出のカンフル剤になる事を期待もしますが、昨年の夏(?5月だったな?)にこのサイトで紹介されていたPHP新書518の最後の言葉
『主役は権力ではなく利用者である』の意味を、今の時であるからこそ、強く感じています。

>HRS人さん
こんばんは。いえいえ、元々前日のうちに纏めていたのですが、眠たくなって放置したものです。残りに手を加えてアップしたのが、たまたま
朝でした~。

なんとか体調は大丈夫です。お気遣いどうもありがとうございます。

正直なところ、間違いなく世の中の変化がそろそろ始まるかなという空気を感じています。業界のなんとなく閉塞感を感じている(のは私だけかもしれませんが)雰囲気は、まさにインターネットが世の中に出た直後のような、その頃の空気に似ています。96年、今から13年間、Nifty-Serve が会員200万人を突破した頃は、まだまだパソコン通信が情報通信社会の主流を担うだろうと疑っていませんでした。私自身、パソコン通信のホストを自宅で開局したのもそのころだったと記憶しています。

あの頃のインターネットというものは、とにかくGUI環境をそろえるのが重い、情報が英語ばかり、役に立つ情報あるの?仕事には使えないでしょ? そんな感じだったのではないでしょうか。しかし、時代は確実に変わりました。気がつけば、インターネットというものが、そこにあるようになったのです。ほんの1年ぐらい(97年~98年)で大きく変わったと記憶しています。

今でこそ、まだまだクラウドコンピューティングなる言葉はバズワード的な扱いかもしれません。しかし、あれだけの膨大なリソースが今まさに目の前にあるのに、たぶん、我々が使い道を想像できていない、いや、おそらく、未知なる存在に対する理解が追いついていないのかもしれません。ここから、何か、また新しいものを想像していくことが、きっと次の時代につながるのだとは思うのですが・・・・まだまだビジネスどころか趣味としても使い込んでいないなぁ、こりゃいかん、といったところです。

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2009年02月20日 07:29に投稿されたエントリーのページです。

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