去年の書き込み をたまたまクリックしてみた。自宅近くので納めた田圃の写真。脱穀後の籾殻が路肩に散乱している。なんてことはない、単なる日常、ではないが、ちょっとイライラしながら撮影したのを思い出す。農作業の傍ら、ほんの一コマを納めた写真が、そこにはあった。
今も思い出す。
季節外れのジメジメとして暑い空気、
ムワッと立ちこめる草いきれ、
体中をつたる、汗の感触、
ほのかな麹の香。
実は、ここから見える風景はもう既に存在していない。写真奥に見える山側は、北陸新幹線の工事が始まっている。正月に私が帰省した折に田圃に出かけてみた。あの、私が無免許で軽トラックを乗り回した田圃は既に存在していなかった。そこはまるで、俺の知らない世界。ここは何処だ? コマツのブルドーザーが田圃に鎮座し、土色だったあぜ道は、新幹線ルートにそって舗装道と真っ新なコンクリの用水路により無機質に切り取られていた。かろうじて見えていた立山連峰も、新幹線工事が終わった後は、陸橋によって、この山は見えなくなる。
俺はもう、この景色を二度と見ることは無いのだ。