HRSmanさん向けの返信でしたが、まとまった分量になったので、独立して残しておきます。
Google に関しては興味深い本が出版されました。「グーグルが日本を破壊する 竹内一正/PHP新書/720円/ISBN-978-4-569-69773-4/2008年4月30日発売」空港で見つけ、帰りの電車の中で勢いで読めました。
一見、タイトルを読むと Google によって日本社会が、日本経済が破壊されるというセンセーショナルな表現ですが、中身もその通りでした。このままでは世界(アメリカ主導のグローバル経済という名の国家戦略)に日本は巻き込まれ、太刀打ちできないような予感がします。「新聞社がつぎつぎ倒産する日」や大手広告代理店の寡占状態についてなど、今の日本における不均衡な経済配分を照らし会わせると、なかなか私のような人間には「ようやく俺にもチャンス到来か」と思うような勇気づけられる一冊です。
Google の存在そのものは、きっと世の中を変えるでしょう。おそらく、我々が思っている以上に日本社会というシステムそのものを変えていくはずです。それが、官僚といった、いわゆる御上主導ではなく、明治維新のような、それこそ志があるものによって世の中が変わっていく。まさにいま、そのような時代にあるものだと、改めて認識させられました。
一方、Google 様々に対する不満もあります。それは、市場価値優先(株主利益優先)の理論に従い、中国市場に参入したことです。中国の Google で「天安門」や「法輪功」を検索しても出てこないことは、あまりにも有名です。
私は、対中国における Google 戦略には激しく異論を唱えます。チベット人権云々以上に、同じ業界で仕事をしている人間として、中国政府に媚びへつらい、民主主義弾圧を黙認する Google を軽蔑する。Google は「Don't Not Be Evil」をモットーにしてるらしいが、これじゃ、マンハッタンで原爆を開発した科学者達と何もかわらない。
(※ 私は、少し前まで制限付きでも Google が中国市場に参入することは、それなりに情報共有など意義があることと思っていました。しかし、あからさまな中国政府による情報統制をうけ、これはあまりにも酷いと態度を転向した次第です)
Google はお金に魂を売り渡しましたが、いまだにシェアは伸び悩んでいるそうです。2007年の段階で、百度約70%の検索市場でのシェアに対し、グーグルはわずか23%。政治的・経済優先の立場で動いてこのシェアでは目も当てられません。天誅といったところでしょうかね。とかとか、グーグルを敵に回しそうな発言をしても大丈夫なのが民主主義なのですから・・・。