不思議なことに、ネット関係の技術やコミュニティは「仮想社会」とひとくくりにされる事が多い。インターネット上の、2ちゃんねるに代表される匿名掲示板を始め、各種のコミュニティ、すべてがである。セカンドライフのようなコミュニティもそうだし、オンラインゲームの世界も仮想社会と言われる。最も、かつては、パソコン通信や newsgroup のような世界は、ほぼ完全に"世間一般"から「仮想社会」と見なされていたと思う。
だが、不思議なことに twitter の事を、ネット上の「仮想社会」とみなすような意見は少ないと思う。何故だろう。
理由は、結構シンプルなのかもしれない。
・即応性…ツイート(書き込み/つぶやき)の内容が、すぐに反映される。
・偏在性…場所を問わない投稿が可能。PCは勿論、携帯やiPhoneを通しても。
・無料…twitter.comのサービスを、クライアントとしては無料で使わせて貰っている。
が、何よりも大切な要素は「簡単」な事であろう。ほんの140文字という限られた世界ではあるが、その中での自由が、かえって使いやすいような印象を受けているような気がする。ログインさえしれば、誰でも比較的簡単に、日本中、いや、世界中のネットワークと接続することが出来る。否、つながるのはネットワークではなく、その咲きにいる人。
こんなに簡単につながることができていいんだろうか。
かつて、コンピュータを介してコミュニケーションを取るには、パソコンを用意したり、モデムを用意したり、パソコンを使いこなすスキルを求められたり…結構敷居が高かった。だが、いまや、ウェブさえ接続できれば、だれもが使うことができるのだ。
正直、これはすごい。ネットを使ったコミュニケーションの敷居を、twitterは、簡単に下げる事に成功したのではないだろうか。携帯を使うよりも、ネットにつながってさえいれば、簡単にコミュニケーションを取ることが出来ている。
これは、静かな革命だと思う。静かな革命が、あまりにも(一部ではあるが)静かに的確に進行したため、しかも、現実世界に覆い被さるように、考える間も内ほど、アッという前に twitter の津波は、現実世界のレイヤーを覆い尽くしたかのように見えるのだ。
気がつかないうちに進行した、誰もが望む革命。しかも、現実世界を結びつけるもの。だから、これもネット上の技術なのに、「twitterは仮想世界」と言う人は居ないのかな。そう思う。
自分自身はというと、2月に本格的にtwitterを始めて以来このかた、何となく、毎日twitterで文字を綴る日々。気がつくと、今日現在で1,705ツイート(発言)に達していた。60日間使っていたとして、一日約28ツイート。起きている時間を考えると、30分おきに何かしら、書き込んでいたことになる。
私が感じる twitterの面白い所は、140文字という制限もそうなのだが、いつでも、どこに居ても書き込める点があげられるだろう。私は、TweetDeckというtwitterクライアント(twitterに簡単に投稿したり読んだりするツール)を使っている。TweetDeckは、PC上ではAIRアプリとして動作しているのだが、同じインターフェースと操作感でiPhone上でも扱うことができるのだ。端末を意識せず、そして、場所を気にせず使える点はとても大きい。
そんなこんなで、毎日何かしらネット上で「つぶやいて」いて、こちらのブログが久々になっていた次第ではある。だが、そろそろ再び、ブログにもそろそろ手を入れていこうと思う。
twitterとブログは、どっちもネット上の技術ではあるが、手法・目的が違う。witter上の発言は、自分の思いつき・つぶやきであり、タイムライン(twitterで時系列に並べられた発言一覧)上の誰かに対する、条件反射的な反応が多々ある。
それが、面白いことは面白いのだけれど、後で情報を見直そうとしても、膨大なタイムライン上にうずもれてしまい、探すのが大変になってしまう。また、タイムライン上で何か書いた"つもり"になっている事が多いが、肝心の情報が独りよがりになりがちという点もあるだろう。
ブログのように後で誰かに読むことを意識しないため、どうも、書き殴りになってしまいがちである。……と、私自身の投稿を見直して反省している。
改めて、twitterは、これまでのインターネットを介したコミュニケーション手段としては、なかなかユニークな存在であるといえよう。限りなく、人と人とのつながりが、割と近いような感覚。正直、こういう表現が正しいかどうか分からないのだが、自分たちが喜んでいる様が、かつて女子高生達が夢中になっていたポケベルのようなツールと重なって見えて、なんとなく面白い。
これまでのネットというのは、あくまで「現実世界」に対峙する「ネット」であったといえよう。だから、発言をする際に、匿名で行うべきかor実名かという論議も起こり得た。
しかし、twitterが紡ぎ出す世界というのは、現実世界の社会とは対立せず、現実世界の上位レイヤーとしてのネット空間を生み出しているように思う。
しかも、かつての「仮想社会」云々のネガティブな側面を批判というか、排斥されることはない。
むしろ、使っているその当人達が、皆一同に「twitterって、面白いよね。何だか良く分からないけどw」と感じているように思う。ここが、これまで登場したコミュニケーション・ツールとの大きな違いではないだろうか。誰も気がつかないうちに、社会に対して大きなインパクトを与えるtwitterというのは、純粋にスゴイと思う。
というわけで、まだtwitterを使ったことの内方は、とりあえずアカウントを作って見て、身近な誰かをフォロー(自分のリストに登録して、自分のタイムライン上に発言するようになる)を繰り返してみると良い。きっと、これまでよりも、もっとネットが……というより、ネットを通した人と人との繋がりが、身近になることうけおいである。まずは、だまされたと思って試して欲しい。