12月6日(月)、青山で第1回CloudStackユーザ会が開催されたので、行ってきました。…そもそも、CloudStack(クラウドスタック)をご存じない方に向けに簡単に説明しますと、Cloud.com 社が提供している、仮想化技術を用いたクラウド基盤(cloud infrastructure) ソフトウェアです。オープンソースとして公開されている CE 版(Community Edition)のほか、商用版の Enterprise Edition、ISP Edition が公開されています。アプリケーションとしては、Eucalyptus や VMware と同じ、仮想化技術をベースにしたインフラ技術に分類されるでしょう。
今日の勉強会は、Cloud.com社から副社長のShannon Williams氏にお越しいただき(!)、直接 CloudStack の魅力について語っていただきました。勉強会は 18:30 から開始です。おおよそ 70 名近くの方が参加されていました。
以下、気がついた点や、興味が引かれた部分を、箇条書きで列挙していきます。
◆Cloud.com について Shannon Williams氏 ( Cloud.com 副社長 )
- Cloud.com 社の紹介
- 2008年創業。本社はカリフォルニア州Cupertino。社員45名。
- 最近はパブリッククラウド/IaaSの構築に特化
- CloudStack について
- ユーザ管理やネットワーク設定、ファイアウォール、ロードバランサ設定も行う事が出来る
- プロジェクト毎に、インスタンス作成、ネットワークやストレージ、セキュリティを分離出来る。
- 専用のダッシュボード(管理画面)を用意
- データセンタで実現できる事は、機能として提供されている
- オープンソースのCE版は、1〜2週間あればすぐに使える
- IaaS Cloud に必要な要件
- 1. Automated (自動で出来ないと、クラウドとはいえない)
- 2. オンデマンドのプロビジョニング
- 仮想マシン、仮想ファイアウォール、仮想ロードバランシング、仮想ネットワーク、仮想ストレージ
- 3. API
- API がなければ、自動スケーリングや自動デプロイメントを行うために必要
- 4. Multitenancy
- プロジェクト毎にリソースを別に管理する必要
- CloudStack のアーキテクチャ
- ハイパーバイザの選択 ( Xen、KVM 、XenServer、 VMware )
- 次に、ネットワーク仮想化の選択 ( 仮想ファイアウォール、仮想ロードバランサ、それとも物理ファイアウォール )
- そして、ストレージプラットフォームの選択(ローカルディスク、SAN、iSCSI、NFS、FC)
- それから「リソース管理」
- Cloud.com は、ユーザ向け機能も充実( HA、モニタリング )
- Developer API は、RightScale にも対応している。
- CloudStack のPoD(ポッド)はユニークな概念
- プライマリストレージと、物理サーバ群がセットになったグループ
- CloudStack の競合は存在するか?(質疑応答にて)
- IBM・HP・DELL 社もソリューションを提供しようとしている
- VMware はパートナーであり、ある時は競合もする
- オープンソースでは、Eucalyptus が市場で展開している
- F5 のような物理サーバと組み合わせて使うことが出来る
- 物理サーバ・仮想サーバの上限はあるのか?
- 基本は上限はなし。VLAN を使うときは、VLAN アーキテクチャの制約を受ける。その場合、Public IP アドレスを使えば回避できる。
- 商用環境では、アメリカソーシャルメディアが物理5,000台のサーバを運用
◆「今すぐ使えるCloudStack」@YMC 岩間氏
- 雲Labo
- @kumolabo の中の人
- CloudStack の魅力
- オープンソース版でも、機能制約は少ない
- GUI
- ファイアウォール、ロードバランサ、Port Forwarding
- 大規模構成
- インストールしたら CentOS のイメージがすぐ使える
- CE版の残念なところ
- バグが多い。有償版なら大丈夫なことも
- 日本語キーボードに標準では対応していない
- 初期設定のままだと動かない
- 実際にTRYしてみた
- TATA Communications 社の無償サービスを利用できる https://manage.iaas.tatacommunications.com/portal/portal/trynow
- Ajax で VNC のエミュレートが出来る
- インドのホスティング会社なので、アメリカ経由で到達(遅い)
- スナップショットの利用制限あり
◆「CloudStack技術解説」 CUPA 荒井氏
- Cloud.com 社は、旧 VMops 社
- PoD は、Primary Storage に対応サーバ群。PoD 毎にハイパーバイザを変更可能
- アーキテクチャは Eucalyptus よりしっかりしている
- 残念なところ
- Community Editoin 独自の問題がある
- OpenStack プロジェクトとの絡み
- Microsoft 社の Hyper-V 技術については、Cloud.com社が仲介
- CloudStack の API について
- 応答は XML
ちなみに、今日の勉強会、あたりを見回すと、比較的背広組な方が多かったですね。ビジネスとしてお越しになられた方のほうが、比較的多かったのかな? あと、なによりも興味深かったのは、CloudStack が「米国メディア配信企業で、物理5,000台サーバの稼働実績がある」との発言。これだけの大規模で動いているシステムは珍しいように思います。実績や前例にうるさい日本国内企業も、これには「おっ」と思うのではないでしょうか。また、オープンソース活動としては、OpenStack の開発にも貢献されている事から、引き続き注目な感じがしました。
あとは、比較的どうでも良いことですが、IaaS は Shannon 氏は「アイアース」と発音されてましたφ(..)メモメモ
さて、まだユーザ会のサイトが無いみたいなんですけど… そのうち cloudstack.jp あたりで公開できるんじゃないかな…などと思っています。たぶん、ワタクシめが構築するんじゃないかと(;´∀`)。ご期待(?)ください。