※当投稿は CloudStack Advent Calendar jp 2012 における、12月13日(木) 担当分となります。
Advent(アドベント)とは、キリスト教文化圏において、12月1日からキリストの降臨まで、つまり24日までの期間のこと。それまで、毎日一枚ずつ捲っていくカレンダーのことを、Advent Calendar(アドベントカレンダー)と読んでいるようです。詳しくは Wikipedia をご覧下さい。
◆第10回 CloudStack ユーザ会に参加してきた話
CloudStack(クラウドスタック)は、オープンソースのクラウド基盤。2008年に開発がスタートして、今年で4年。2012年はコミュニティ版としての Apache CloudStack と、エンタープライズ向けの Citrix CloudPlatform という2つの流れが出来、ライセンスや開発体制も一新した新しい流れを生み出した年として、ある意味で節目だったとも言えるでしょう。
日本国内でも、2010年12月に第1回の CloudStack 勉強会が開催され、はや2年。勉強会も11月15日開催の会で、10回目に到達。そんな、ユーザ会としても節目の第10回 CloudStack 勉強会に参加してきました。
◆「日本CloudStackユーザ会のご紹介」
まずはじめに、ユーザ会の輿水さんから、ユーザ会へのお誘いです。
– ユーザ会のサイトは http://cloudstack.jp/
– ML の登録は users-join@cloudstack.jp へ空メール送信を
– OCDET (オープンクラウド実証実験タスクフォース) への参加 http://ocdet.org/
– オープンソースカンファレンス 2012 .cloud に参加! 12月16日(日) 13:00~13:45
– その他、輿水さんからは「構築時のトラブル」に関するセッションもありました。
◆「Apache CloudStack 近況アップデート」
そして、Citrix 北瀬さんから、最新動向のご案内。
– 11/6 Apache CloudStack 4.0 がリリース ( ≒ CloudPlatform 3.0.5 相当で、安定性を重視。一部機能を除く )
– Apache CloudStack と CloudPlatform は、長い目で見ると同じ機能
– 新機能として VPC、Tier、Private Gateway、サイト間 VPN が搭載、Ceph との結合等
◆目玉は「中の人によるパネルディスカッション」
今回の勉強会のメインは、中の人、「CloudStack事業者」によるパネルディスカッション『CloudStack採用事業者 開発責任者による生トーク』だったのではないでしょうか。パネリストとして登壇されたのは、以下4社(4名)の方々。まずは、自己紹介から始まり、どのように CloudStack を導入しているかの紹介からスタート。
- (株)IDC フロンティア 寺門氏
2009 年から CloudStack を採用している。
CloudStack の安定性を重視(性能=安定性と考えている)。
海外のサービスとつながるという戦略(RightScaleやScalrとの連携)。
プライベートクラウド環境の構築にも。 - NTT コミュニケーションズ(株) 柏木氏
945円から利用出来るサービス(Cloud n)を提供している。
去年の秋から開発開始したが、サービス提供まで早く出来た。 - SCSK(株) 貝塚氏
USiZE netXCloud の基盤で採用。
2004年から従来型のプラットフォームを展開していた。
データセンタで動くエンタープライズ向けのオンデマンドサービス。
国内ニーズにあわせ、月額料金の設置絵や、請求書への対応。 - KDDI(株) 前原氏
KCPS (KDDI Cloud Platform Service) の基盤で利用。この4社では最後発。
40% 以上の方が専有型も使われている。
BCP ニーズに向けて、2拠点間同時バックアップが好評。
その後は、テーマ毎に各社の状況をお話いただくというスタイルで進行。経験されている生の様子が覗えて、興味深い内容となりました。
「CloudStack 導入経緯・理由・良かった点・苦労している点は?」
・CloudStack シナジー(相乗効果)への期待(寺門氏)
・選択肢が限られた中で、CloudStack は GUI がキレイだった。また、国内外のキャリアで CloudStack の採用が進んでいた点でも期待するところがあった(柏木氏)
・ベンダーフリーでクラウド環境を提供したいという考えと、マルチクラウド対応を条件に選定をはじめる。Eucalyptus や OpenStack を比較しながらも、最終的に CloudStack を選定。良かったのは完成度が高く、サービス化にすぐに漕ぎ着けられた点。苦労しているのは続々登場する新機能のため、検証に手間取っている(貝塚氏)
・CloudStack は UI がしっかりしていたし、動作も安定していた。また1つのプラットフォームで、ロードバランサ、ファイアウォールなどネットワーク系の機能が入っている点が良かった。苦労しているのは仮想ルータ。割と安定していないことがある(前原氏)
「監視やトラブルシーティングについての対応や工夫点は?」
・仮想ルータが知らないうちに動作不良になっていることがあり、黙って落ちても発見できる仕組みを入れている。またハードウェア障害時に、仮想マシンがどこにいいたか分からなくので、これも分かる工夫を入れている(前原氏)
・前原氏と同じ。独自でログやリソース監視の拡張をする仕組みを導入し、仮想マシンがどこに移動しているのかを把握できるようにしている(貝塚氏)
・インストール時のトラブルがあった点。また、CloudStack が認識しているリソース情報と、OS のものが一致しているかどうか、二重、三重のチェックを行っている(柏木氏)
・MySQL のクエリで仮想マシンのリストを取得している。ユーザが仮想マシンを作る毎に通知するなど、ユーザの利用情報を可視化。ログを参照する仕組みも導入。稀にセカンダリ・ストレージが disconnect になる事があるので、トラップを飛ばして復旧するようにしている(寺門氏)
「SDN (OpenFlow) については、どのようにお考えですか?」
・VLAN 4000 個の問題とか、ユーザメリットはどこにあるのか疑問(柏木氏)
・サービスとして出すときに、いまは上位ブランド向け。いずれはパブリックな環境にも(寺門氏)
・OpenFlow は注目・検証中だが、採用するかどうかはまだ(貝塚氏)
・複数のデータセンタでデータをやりとりする必要がある。SDN は絶対やります(前原氏)
最後の結論としては「事業者=人柱」という所で締めくくられました。
◆実は私も発表してきました。
ちなみに、実は私も Munin ユーザ会としてセッションのお時間をいただいていました。API を使って CloudStack の様々なリソースを取得し、画面に表示できるようにする、というモノです。
今回は「序」ということで、時間も少ない中で概要のみご紹介させていただきました。次回「破」では、より実践的な監視手法について皆さんと共有できればと思っています。
以上で、CloudStack ユーザ会のレポートは終わりです。CloudStack ユーザ会では定期的に勉強会が開催されます。ユーザ会のサイト ( http://cloudstack.jp/ ) や、メーリングリストで随時アナウンスがありますので、興味がありましたら、気軽にご参加ください。お待ちしています!
<反省>
このようなアドベントカレンダー、面白いですね。実はこの手のものは初参加でした。独特の締め切り感と緊張感はクセになりそうです。もう少し技術寄りな話題にしたかったのですが、ちょっと時間がとれず、、、ごめんなさい、ごめんなさい。
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